最近、ロシアの情勢や円安などの影響にで燃料費の高騰により、日本の家の寒さがテレビなどでも取り上げられていますが、実際に、欧米などに比べて、住宅の断熱性能が低いのは事実です。
その大きな理由は、昔から日本の家は、夏の蒸し暑さ対策を中心に作られていたからで、できるだけ、家に湿気がこもらず、風通しのいい家がいいとされてきたからです。
ただ、最近は、高性能な建材や構造的に、気密性と断熱性を高めても、夏の湿気に対応する技術ができたことで、新しい家は、昔よりも、かなり、過ごしやすくなってきました。
それでも、古い家は、断熱性が低いのは変わらず、断熱リフォームをするとなると、コストがかかり、その効果もあまり知られていないので、多くの人が寒い家のまま過ごしているのが現状です。
最近、テレビで取り上げられている大きな理由は、光熱費の高騰による家計のひっ迫という観点から、一般の人でも実感がわきやすいということがあげられますが、その対策として、窓にプチプチを張ったりと、あまり、効果が高いとは言えないものを紹介していたりと、本質的な解決には、つながっていないように思います。
テレビでは、あまり、取り上げられていませんが、寒い家の一番の問題は、高齢者のヒートショックによる健康被害です。
これは、統計的にも明らかで、年間、1万人以上の方が、ヒートショックで亡くなられていて、熱中症による死者の10倍にも上ります。
ヒートショックの起こる原因は、暖かい場所から、急に、気温の低い場所に移動することにより、血圧が変化することが原因ですが、主に、冬場にトイレやお風呂などで、起こる現象です。
血管が弱くなる高齢者の方ほど、犠牲者が多く、ヒートショックで死を免れたとしても、障害が残ったりして、要介護になってしまう方も加えると、さらに、大きな損害になります。
これを防ぐ方法としては、家の中の温度差が起きないように、断熱リフォームをすることが一番ですが、コスト面を考えたときに、実際に得られる健康に対する知識が広まっていないのは大きな要因です。
夏の熱中症は、温暖化の影響から、メディアでも、大きく取り入れられるので、多くの人が関心を持つ問題ですが、家の断熱効果を高める効果は、エアコンの効き目を良くすることを考えても、同時に、熱中症対策にもなるのは、広く、喧伝していく必要があります。
最近は、ようやく、政府もこの問題に、徐々に、取り組む姿勢を見せており、断熱リフォームに対する補助金などもあり、断熱リフォームをしやすくなっています。
昔の家と今の家を見比べた時、窓の数に大きな差があるのに気づくと思いますが、それは、窓から、熱の出入りが多いからです。
実際に、断熱効果を高める方法として、一番、効果的なのは、窓を断熱性能に高いものに変えることですが、工事として簡単で、コストのかからない方法としては、高性能な窓を内側につけるというものです。
窓の性能というと、ピンとこない人は多いと思いますが、昔の家は、ほとんどが、アルミのサッシで、一枚ガラスでできていたのですが、アルミは、鍋やヤカンなどを考えてみてもらえばわかると思いますが、熱伝導率が高く、その分、熱の移動が起きやすいのです。
それに比べて、高性能なサッシは、プラスチックなどの樹脂でできているため熱が伝わりにくく(鍋を持つ取っ手の部分などを想像してもらうとわかりやすいと思います)、部屋から、外に熱が逃げにくくなっています。
今は、窓のほとんどが、ペアガラスかトリプルガラスになっていますが、その理由は、ガラスの間に、空気の層があることで、断熱性を高めているからです。
羽毛布団やダウンジャケットが暖かいのは、空気の層が、熱を伝わりにくくしているからですが、ペアガラスやトリプルガラスも同じ原理です。
家全体を断熱しようと思うと、かなり、大がかりな工事になり、コストもかさみますが、昔の窓の多い作りの家の場合は、窓を交換するか、内窓をつけるという方法が、コストパフォーマンスも高く、おすすめです。
特に、高性能なサッシを使った内窓をつけるという方法は、工事も簡単で、一番、コストがかからず、補助金も出るようなので、政府としても、推進しているように思います。
ここ数年、コロナで不安な日々を過ごした人も多いと思いますが、健康のことを考えるなら、できるだけ、暖かい家に住んで、快適に過ごせるようになることも大切だと思います。
断熱性を高めることで、省エネの効果ばかりが強調されている部分が多いように感じますが、実際のところ、高齢な方ほど、断熱性の高い家での生活で得られる健康のほうが、より、価値が高いです。
住宅における寒暖差によるストレスは、目に見えないものなので、意識しづらいものですが、ストレスを感じる家での生活は、家族との関係性にも少なからず、影響はすると思うので、それも、含めて、これからの日本の住宅の課題として認識する人が増えていってほしいと思います。