まだまだ、寒さの厳しい日が続いていますが、昨日、今日と、小春日和を感じる暖かい日が続いたので、ほっと、一息ついた人も多いように思います。

あと、ひと月ほどは、こんな感じで、寒い日と暖かい日が交互にやって来て、徐々に、春に近づいていくように思いますが、過ごしやすくなるまでは、あと少しの辛抱です。

冬でも、天気の良い日は、日差しが入ることで、暖かく感じるものですが、家に入る日差しをコントロールすることは、室温をコントロールする上でも、合理的な方法です。

昔の家は、庇の深い家が多かったのですが、その理由は、夏と冬では、太陽の登る角度が違い、夏の日差しを遮断して、冬には、逆に、日差しを多く取り入れることが目的だったからです。

特に、南側や西側の庇を深くすることで、日差しの入り方が変わるので、夏は涼しく、冬は暖かいという構造になっていたのですが、最近の家は、デザイン的な要素からなのか、庇の無い家などもあって、その恩恵を受けられないような家も増えています。

庇には、雨風から、外壁を守るという効果もあり、外壁を長持ちさせるという意味もあるので、本来、庇は、とても、重要なものなのです。

昔は、自然から、学ぶことが多かったので、家もそういう作りになっていたのだと思いますが、現代の家作りにおいても、そういう部分は、学ぶべきことは多いと思います。

太陽の恵みというのは、大きいもので、冬に日差しが入ることで、暖かく過ごせるのは、健康的という意味でも大きいです。

逆に、夏は、日差しを遮ってくれるので、涼しく過ごせるのですが、庇の深い古い家を夏に訪れると、ひんやりと感じるのは、それが、大きな理由です。

時代によって、流行りのデザインがあるので、今は、庇の無い家のほうがスタイリッシュに感じる人が多いのかも知れませんが、日差しによって得られる恩恵と、外壁を守るという意味では、昔の知恵を借りるのは、合理的な選択肢です。

アクティブ住宅とパッシブ住宅という概念がありますが、アクティブは、外側を遮断して、内側で温度などを人工的にコントロールする意味合いが強く、逆に、パッシブとは、開かれたという意味で、太陽の日差しや風を取り入れることで、自然の力も取り入れつつ、人工的な力も使って快適な環境を作るところに違いがあります。

人間は、風や日差しを感じながらの生活のほうが、確実に、心地よいと感じる生き物だと思いますが、内側に閉じたほうが、コントロールしやすので、そういう家が増えているのかも知れません。

現代においては、昔の家は、とても、住みやすいものだと言えないので、昔に戻ったほうがいいとは思いませんが、今の技術を使って、さらに、昔の人の知恵を借りるのも大事なことだと思います。

情報のあふれる世の中においては、変化のスピードに、ついていくだけで大変な時代になりましたが、ほんの少し前の常識が、非常識になっていくことは、大いにあり得ることです。

ただ、古い考えや情報の中にも、現代に取り入れたほうがいいことも多いと思うので、新しい情報だけに振り回されず、情報の持つ意味を考えると、色々な組み合わせの中で、いいものを作りだせると思います。

伝統と革新というのは、真逆の考え方のようにも見えますが、昔の知恵を現代に生かせれば、色々な部分で、新しい価値を生み出せると思うので、新しいものを取り入れつつ、古い時代の人達の考え方も尊重していくことには、大きな意味があると思います。