東北で震災が起きてから、丸10年以上経ちましたが、今だに、多くの人の記憶に残っている出来事だと思います。

日本は、昔から、地震の多い国なので、この10年の間にも、熊本で大きな地震が発生したり、数年に一度くらい、大きな地震があるのを覚悟する必要があるので、それに対して、備える必要性があります。

住宅は、年々、耐震性の基準が上がっているので、新しい家ほど、地震に強くなっているのですが、どういう家が地震に強いのか理解している人は少ないように思います。

地震に強いというと、鉄筋コンクリートのように、硬くて強いものを想像しがちですが、日本の住宅は、ほとんど、木造なので、木造なりに強さを備えた家作りがされています。

地震の強さには、構造を強くするとともに、屋根や外壁を軽くすることでも、揺れた時の力が軽減されるので、屋根や外壁の素材に軽くて丈夫な物を使うことも増えてきました。

代表的なものとして、ガリバリウムと言った金属製の屋根や外壁は、軽くて耐用年数が長いことから、従来の瓦屋根やサイディングの外壁よりも、軽い分、地震に対して、揺れを軽減する効果が高いです。

もちろん、瓦屋根は、日本の文化を代表するものなので、情緒的な部分で、使用したいという人は多いと思いますが、最近は、瓦と見た目の変わらない金属製の屋根などもあるので、見た目の良さに加えて、地震への強さを兼ね備えたものを使用することもできます。

ただ、デメリットとしては、コストが高いので、全体的なコストが上がってしまうことです。

それでも、ガリバリウムは、軽さと強さがあるだけでなく、塗装の技術の向上のおかげで、あとあとのメンテナンスが、ほとんど必要ないのは、大きなメリットになります。

短期的にみると、高いと感じるものでも、長い目で見た場合は、得になるので、耐震性を考えた時には、賢い選択だと言えます。

最近は、外壁などで、目にする機会も増えましたが、すっきりとした見た目がスタイリッシュに感じられるので、デザインとして優れているので、若い世代は、選ぶ人が増えているように思います。

屋根材においてのコストという意味では、アメリカなどでは、良く用いられるアスファルトシングルという選択肢もありますが、軽くて、コストが安価なところが魅力です。

その分、チープな印象になってしまうので、デザインとの兼ね合いにもなりますが、全体的なコストを考えて、バランスを取って、用いるには、選択肢の一つにはなります。

屋根や外壁の軽さについては、揺れをできるだけ、小さくする工夫なので、それ以上に重要になるのが、家の構造自体の強さになります。

耐震構造には、免震、制振、耐震と3つの技術があります。

まず、免震については、建物の基礎と土台の間の部分に免震装置を取り付けて、揺れを吸収するというものです。

これは、主に、鉄筋コンクリートなどの大きな構造物に使われる技術なので、木造の住宅に使用されることは、ほとんどありません。

理由は、普通の住宅は、そこまで、重量があるわけではないので、工事のコストが大きい、免震工事をする必要はないからです。

通常は、ビルやマンションなどの集合住宅などに用いられる技術だと思います。

制振構造についてですが、こちらは、最近、住宅にも、一部、取り入れるところが増えてきました。

制振構造は、制振ダンバーというものを柱の間に筋交いのように取り付けることで、地震の揺れをダンパーによって、吸収して、地震の揺れによるダメージを小さくするものです。

制振ダンパーには、伸び縮みする部分があり、そこに、地震の揺れの力を集めて、熱エネルギーに変えることによって、地震のダメージを減らしてくれます。

これのメリットとしては、ダンパー自体にダメージがないので、余震のように、何度、揺れが来ても、同じように、揺れによるダメージを吸収してくれることです。

ただ、導入するコストが高いので、特に、重要な部分に使用したり、耐震構造と合わせて使用するのが現実的です。

ただ、技術としては、硬いもので、支えるというものではなく、柳が風に揺れるように、力を逃がすことで、建物を支えるという考え方は、日本的な発想だと言えます。

最後の耐震構造についてですが、これは、最も、一般的な技術で、現代の住宅のほとんどに取り入れられている技術です。

具体的には、耐震壁を使って支えるというものが、最も一般的で、外壁の内側の部分に施工することで、建物を外側から支えます。

内壁には、筋交いを用いることで、強さを高めますが、壁が多いほど、耐震性は高まります。

最近は、窓の小さい家が増えていますが、理由の一つは、耐震性を高めるために、できるだけ、耐震壁の面積を増やすことで、耐震性を高められるからです。

もう一つ、耐震構造として、最近、用いられることの増えてきたのが、柱や梁などの構造材に、剛性の強い集成材を使用する技術です。

日本人は、文化的に、骨組みを強くして、建物を支えるという発想がありますが、築年数の古民家などをみると、太い柱や梁が使われていて、それで、建物を支えていることがわかります。

太い構造材を使うことには、それ自体の強さにも理由がありますが、木は、強い揺れがあった時に、木の繊維に粘りが出て、揺れを吸収するのと、割れることで、力を逃がすという二つの役割があります。

ただ、現実的に、太い柱や梁などの構造材を使うことは、コストの部分で、大きな負担になるので、現在の家作りにおいては、難しいと言えます。

その変わりに、集成材を使うことで、構造的な強さを出すのですが、この構造のメリットとしては、壁を少なくすることができるので、自由な間取りを作りだせることにもあります。

ただ、集成材は、接着剤で、張り合わせたものなので、自然な木材ではないところに抵抗を感じる人がいるのと、剛性を高めるために作られているので、コストが高いというところはデメリットになります。

もう一つ、昔から、耐震性を高めるのに、人気なのが、構造材を鉄骨作りにすることです。

鉄骨作りが、木材よりも強いのは、理解しやすいと思いますが、デメリットとしては、コストがかかるのと、まれに、施工技術の不備によって、鉄骨が腐食してしまうことです。

ただ、建物自体の強さは、木造以上なので、取り入れるメリットは大きいです。

今の法律では、新築住宅の多くは、震度7以上の地震に耐えられる構造になっているので、よほど、強い地震が来ない限りは、どんな構造でも、生命に危険が起きることは考えられないと思いますが、耐震にも、色々な方法があることを知っていると、家作りをするときに、業者に相談しやすいと思うので、最低限の知識として、参考にしてみて下さい。