今年は、1月、2月と、例年並みの寒さの厳しい日が多かったように思いますが、3月に入って、暖かい日が多くなったので、例年よりも、早く、春の訪れを迎えそうです。

ここ最近、燃料の高騰もあって、暖房費がばかにならないと感じる人も多いと思いますが、これから、暖かくなる一方なので、暖房費が減らせるのは、家計にとって、うれしいことだと思います。

そもそも、断熱性の高い家に住めば、冬や夏でも光熱費が少なくて済むのですが、なかなか、日本では、断熱性に対する知識が足らない人が多いので、それに対するメリットに目がいかないように思います。

最近は、世界的に、脱炭素社会に向けた取り組みが必要となっているので、その流れからも、日本の住宅の性能は、上げていかなければならないのですが、断熱性能を上げるには、それにかかかるコストが高くなってしまうので、なかなか、住宅の高性能化が進まないのが現状です。

ただ、住宅の断熱性を上げるのは、省エネという以外にも、健康寿命を延ばす効果もあり、健康的な生活を送るという意味でも、とても、大切なことです。

住宅の性能を上げれば、その分、コストがかかるのは当然なのですが、断熱性能を上げることで、部屋の仕切りが少なくなり、無駄なスペースがなくせるので、建坪が小さくても、家の中は広々としたものを作ることができます。

これまでは、部屋ごとに、冷暖房が必要だったので、細かく部屋を区切る必要がありましたが、断熱性を上げることで、広々としたリビングを作ることも可能になり、寝室は、寝るだけのスペースで良いので、昔よりも、広い空間を持った家を作ることが可能です。

住宅業界には、坪単価という概念がありますが、坪単価は、坪数が大きいほど小さくなるので、大きい家ほど、坪単価自体は安くなりますが、住宅の性能を上げれば、坪数が小さくても、内側の住空間を広く取れるので、坪単価自体は、高くなっても、トータルにかかるコストを考えると、価値としては、そちらのほうが大きくなります。

核家族化がすすみ、夫婦と子供一人か二人という家庭が増えていることを考えると、それほど、大きなスペースは必要ないので、坪数を抑えて、高性能な家を建てるほうが、将来的にも、合理的な選択肢となります。

広いリビングは、ある程度の距離を保ちつつ、家族が一緒にいられるという意味でも、大きな効果がありますが、今は、スマホで、1人スクリーンの時代になっているので、各々、別々のことをしつつも、同じ空間で生活することで、お互いの様子が確認できるのもいいところです。

高断熱化に必要なのは、断熱材を厚くすることと、高気密化に加えて、高性能の窓(樹脂サッシのダブル、トリプルガラス)を使うことで達成できますが、その作業は、家を作る初めのほうの過程で行われる作業なので、家を作る前に、作り手側と良く相談して、決めるのが重要になります。

優れた住宅業者は、色々な方法で高断熱化をする技術があるので、コスト面を考えつつ、最適な方法を取ってもらえるよう、相談できるところがベストです。

基本的に、断熱材を厚くして、高性能の窓を使い、隙間風のないように、気密性を上げれば、断熱性能は高まるのですが、それには、色々な工法や断熱材の種類などにもよって、コストも変わるので、質問をして、メリット、デメリットをわかりやすく説明してくれる業者なら、信用できると思います。

高断熱、高気密化には、音が漏れないという効果もあるので、住宅の密集地に置いては、そこにも大きなメリットがあります。

住宅の性能に関しては、年々、法律により、厳しくなっているので、昔に比べれば、今の家は、はるかに、性能が高くなっていると言えますが、世界の基準に照らし合わしてみると、まだまだ、日本の家は、性能が低いのが現状なので、さらなる進化が求められています。

性能の向上には、コストが一番のネックとなっていると思いますが、コストに関しては、建坪を減らしたり、設備をできるだけ、安価なものにしたり、トータルで、考えたコスト設計をバランス良く行うことで調整すれば、クリアすることはできると思います。

合理的に考えると、小さくても、住みやすくて、高性能な家を作るのが、これからの住宅の主流になっていくと思われますが、それは、日本人のこれからの暮らしを考えた時には、とても、合う価値観だと思います。

古民家のような田の字型の家が普通だった時代から、個人のプライベートが大切にされる時代に変化すると共に、個室が重要視されるようになりましたが、これからの時代は、緩やかな繋がりの中で、オープンでありつつも、各々、プライベートな空間もあるのが当たり前になっていくように思います。

脱炭素社会に向けて、住宅の性能を上げていくのは、必然的な流れですが、それによって、もたらされるのは、決して、省エネというわかりやすいものだけでなく、健康寿命を延ばすことだったり、家族との距離の取り方の変化だったりと、社会の在り方そのものにも関係してくるものだと思います。

電気自動車を普及させようという流れを見ても、エネルギーを減らす暮らしは、これから必要な価値観になりますが、住宅の性能を上げることには、健康で、快適な暮らしをすることで、心身ともに、大きなメリットがあるので、住宅を建てる時には、性能を重視した家つくりをすることには、大きな意味があります。