最近、SDGsという言葉を聞く機会が増え、環境に配慮した経済活動の重要性が大きくなっていますが、エコという言葉を聞くと、なんだか、環境に良いというイメージを持つ人も多いと思いますが、エコ=自然というとらえ方は、少し、誤解があります。

最近は、住宅産業でも、エコハウスをうたう業者が増えているように思いますが、一部の業者は、それを自然素材を使ったからだにやさしい家という風な売り方をしているところもあるので、誤解している人も多いように思います。

エコというと、もともとの語源は、エコロジーから来ているので、生態学という、かなり、大きな範囲で、生物の活動をとらえた学問の分野になりますが、狭義の意味としては、環境における生物への影響を考えたものとして、とらえれば、わかりやすいかも知れません。

最近は、気候変動が、一番の大きなテーマと言えますが、温室効果ガスを減らし、クリーンなエネルギーを使って、できるだけ、エネルギー効率の高い経済活動を行うことで、持続可能な社会を目指すことが、地球全体を守ることにつながるという考え方が根底にあります。

温室効果ガスによる影響については、今だに賛否がありますが、すでに、欧米主導で、決められたルールのもとで、世界が動いているは事実なので、日本もそれに、追随する流れになっています。

この流れの中で、住宅の作り方にもそれに合わせたものを求められていますが、クリーンなエネルギーを使いエネルギー効率の高い家=エコ住宅が、これからの主流になっていくのは間違いありません。

具体的に、クリーンなエネルギーというと、太陽光などが当てはまりますが、それもあって、最近、東京都では、新築住宅には、太陽光パネルの設置義務を条例として設定する流れにもつながっています。

ただ、もちろん、それだけでは、足りないので、できるだけ、熱効率の良い家作りをすることが、エコハウスの本質と言えます。

具体的には、断熱性と気密性の高い住宅ということになりますが、日本は、その部分が海外に比べて遅れているという認識を持つ人は少ないと思います。

一応、新築を建てる場合、法律では、断熱性の基準が高く設定されていますが、現実的に、コストがかかることなどから、その基準で建てられる家は、まだまだ、少ないのが現状です。

断熱性能には、省エネという以外にも、健康面でのポジティブな要素も大きいので(冬場のヒートショックによる健康被害は、あまり、知られていないですが、高齢者にとっては、大きな問題です)、長く住み続けるという意味でも、価値の下がらない家作りには、必要なものです。

具体的に断熱性能を上げるには、高性能の断熱材を壁の外側か内側に入れて、家をくるむという方法になります。

最近は、壁の内側に断熱材を入れて、さらに、付加断熱として壁の外側にも断熱材を設置する方法を取る業者などもいますが、その方法がベストだと思います。

その分、手間とコストがかかりますが、省エネ性能を上げるには、その方法が一番だと思います。

さらに、樹脂を使ったダブルガラスやトリプルガラスのサッシを使うことで、断熱性能は格段に上がります。

家の性能というと、家の内装やデザインや設備などをイメージする人が多いかも知れませんが、家の性能で重要なのは、断熱性と日本の土地柄を考えた耐震性の高さになります。

そのどちらも、工事の最初のほうで行う作業に加えて、多くの人にとって、その過程を見ることが少ないので、詳しい説明を受けない限り、知識を持たない人は多いかも知れませんが(そもそも、興味を持たない人が多いのも問題ではありますが)、その部分にお金をかけないと、せっかく、デザインにこだわって、いい設備などを備えたとしても、長い目で見た場合、住宅の性能の低い価値の低いものになってしまいます。

普段、見えない部分が、一番の価値だと言われても、なかなか、それを実感するのは難しいですが、長期的な住宅の価値を考えた場合、性能にこだわったほうが絶対に得です。

実際に、性能を高める工事には、多くのコストがかかりますが、その分、住宅の建坪を小さくしたり、必要のない部分を削ることで、コストは削減できるので、トータルで考えてくれる業者に工事を頼むと、色々なアイデアを出してくれるように思います。

最近は、窓を小さくして、壁の多い住宅が主流になっていますが、その大きな理由は、性能の高い窓は、大きなコストがかかるからです。

ただ、人が気持ち良く住む場合、窓からの自然な光は、生活にとって、必要なもので、風の通り道を考えられた住宅というのは、住んでいて、快適性が高く、太陽の熱によって、家の中を温めることもできるので、そういう意味でのエコという考え方は、日本人には理解しやすいように思います。

性能の良い窓は、樹脂製のサッシか木製のサッシを使ったものになりますが、三重のガラスを使ったトリプルサッシは、内側からの熱を逃がすことなく、冬でも、暖かく過ごせます。

これも、トータルのコストで考えたほうがいい問題ですが、窓の性能を良くする分、居心地の良い空間が作れると考えれば、かなり、意味のある方法です。

住宅は、ほんとんどの人にとって、人生で、一番、高い買い物だと言えると思いますが、それを選ぶ基準に性能という概念は、なかなか、浸透していないので、なんとなく、デザインがいいからという理由で、選んでしまう人は多いかも知れません。

ただ、多少、コストがかかっても、性能の良い家に住むことは、将来的な価値につながるので、多少なりとも、勉強をしておくと、後悔しない家作りができるように思います。

全国には、知識が豊富で、細かい相談に乗ってくれるような地場の工務店もあるので、一緒に相談しつつ(知識を共有してもらうことで、価値を実感してもらえるという意味では、工務店側にも大きな喜びとメリットがあります)、ベストな方法を取ることができれば、健康的で、環境にも優しく、かかるコスト以上の家作りができると思います。